FEATURE
デザイントライン VOL_14 三嶋章義(さん
個展が終わったら、ベルリンに行ってみようかなと。次のステップへの転機のような気がするんです。
アーティスト、デザイナー、ファッションデザイナー、映像ディレクター、 VJ……など、その肩書きの多さが示すように多種多様なフィールドで 活躍を続けているクリエイター三嶋章義。彼が創りだす作品はどれも とことん洗練されていながらも、どこか民俗的だったり、はたまた宗教的な 匂いすら感じさせ、観る人の心に何かを突き刺している。そんな三嶋章義 という人間を紐解いてみた。

ーまずは、現在の活動内容を教えて下さい。

三嶋章義(以下略 M):

白金の「NANZUKA UNDERGROUND」(http://nug.jp/)で7月2日〜30日の間、個展を開催するので、その制作活動が今のメインですね。ファッションブランド 「フガハム」(http://www.fugahum.com/)はこの前2011a/wの展示会が終わったばかりで、あとは日本のミュージシャンのジャケットやPVを作っていたり、VJの仕事もチョコチョコやっています。

ー相変わらず、多忙ですね。VJはどこでやっているんですか?

M :

この前は渋谷のクラブ「WOMB」(http://www.womb.co.jp/)で、ミュージ−シャンの環ROY君と一緒にやったり、ゴールデンウィークはそれぞれ別のイベントで、福岡、大坂、京都、東京と4カ所を廻りました。

ーその他に進行しているプロジェクトなどはあるんですか?

海外のとあるバイクチームのコスチュームからピットのデザインまで手掛けるような仕事も受けていて、それは先日プレゼン段階まで進みました。あとは、中国の企業とのプロジェクトが動き出して先日上海に行って来ました。それと「スペースシャワーTV」のミュージックビデオアワードの映像ディレクションや冊子も作ったりもしています。

ーなるほど。精力的ですね。でも、元々はデザインだけをやっていたんですよね? どうしてこんなに幅広く制作活動をするようになったんですか?

M :

そうですね。エンライトメントに入ってすぐの頃は、デザインだけをやっていましたね。で、ある程度出来るようになってきたころに、三嶋章義名義で初めての個展を渋谷の「NANZUKA UNDERGROUND」で開いたんですね。「quater」っていう。それが良い意味で自分にとっての転機となったんだと思います。

ーどういう転機だったんですか?

M :

その当時、「NANZUKA UNDERGROUND」は渋谷にあって、宇川直宏さんが手掛けてた伝説的クラブ「マイクロオフィス」が同じフロアにあって、ギャラリースペースとクラブを行き来できるようになっていたんです。だから、クラブに来る多種多様な人種が僕の作品を見てくれて、いろいろと話す機会が多かった。その時、僕はまだ25〜6歳だったので、刺激を受けたというか、その個展の後からは普段の仕事においても、アート作品でもエッジを効かせたものを作ることができるようになった気がします。

ーそうなんですね。そのデビュー個展ではどういった作品を手掛けたんですか?

M :

この「quater」では、自分のルーツとリアリティを融合させたものをテーマにしていたんですが、デジタルペイントのアート作品やスニーカーを解体して作った民俗的なマスクなどを作りました。完全なる消費社会と宗教観の薄い現代日本に対するオマージュのような意味も込めた作品でしたね。  それからは、ディーゼル アート ギャラリーで個展を開催したり、マイアミ アートバーゼルのサテライト展ではマンションの一室をディレクションするといった変わった展覧会なども手掛けました。

ーマイアミのアートバーゼルにも出展していたんですね。そういった海外でも個展をするようになって、何か自分の中で変化することはあったんですか?

M :

海外のアート展は来場する人も、アーティストもぶっ飛んでいる人が多いんですよ。いい意味でも、悪い意味でも。例えば、入り口に金網が貼ってあって、中に入れない作品とか、とにかく馬鹿デカくて、金ピカのクルマやただ大きいだけの鐘とか、ホント何でもありなんですよ。自由度が限りなく高くて、それでいて意識の高い作品が多いというか。それは、その当時のメインの仕事だったデザインがいろいろと制約が多かったので、そういう人や作品に触れることですごく意識が解放された感がありましたね。

ーなるほど。デザインに制約が多いのというのは?

M :

デザインは理詰めして、作らないといけないんですよ。クライアントありきの仕事なわけだから、みんなに対して説明できるものじゃないといけないし、見る人にも納得してもらうように作らないといけない。でも、そことは違ってアートの世界は突き放された孤高の世界だっていうことを再認識しました。でも、僕の場合はデザインもアートもどちらも行き来することが多いので、例えばアート作品を作るときにデザインっぽくなってしまったり、逆にデザインをする際にアート作品のようになってしまうことがある。どっちかに引き寄せられちゃうことがあるんです。それは今の課題ですね。

ー三嶋さんの場合はやっていることが多岐に亘っているからじゃないですか?

M :

そうなのかもしれないですね。でも、なるべくそういう個々の作品が、それぞれ曖昧なものではなくて、デザインはデザイン、アートはアート、ファッションはファッションと、線引きをキチンとしたものにしたいんです。で、その違うベクトルを向いたそれぞれが、実は俯瞰して見てみるとひとつの太いラインになっていればなと。

ーそうするために心がけていることや考えていることはあるんですか?

M :

う〜ん、日々何かしら取り組んではいます。でも最近は、例えばやっていることをすべてリセットしてみるのはどうだろうか? って、考えることが多いですね。

ーリセット!?

M :

そう、リセット。これから開催する個展が終わったら、ベルリンに2週間くらい行ってこようと思っていて。そこでこれからの活動について、改めて考え直してみようかなと。まだわからないですがベルリンも一つの活動拠点にすることも視野に入れつつ。

ーそうなんですね。でも、なんでまた海外なんですか?

M :

デザインも、アート活動も、それこそフガハムだって、日本じゃなくてもできるし、打ち合わせだって今はスカイプがあるからPCさえあればどこでもできるわけじゃないですか。中国のプロジェクトでも1年間は毎月上海に行くことになりますし、日本だけで活動する必要もない。それこそ、日本の政治状況が日に日に深刻化してきている今、強制的にみんな目が覚めたと思うんです。もちろん日本人として、この国の文化や環境は僕の中心にありますし大切にしていきたいですが、海外視野は自然な流れなのかなと。

ーベルリンを選んだ理由は?

M :

世界中でも、ベルリンのアートシーンが一番面白いんですよ。それと家賃が安いので、世界各地から若いアーティストがどんどん集まってきている。だから、すごくパワーが漲っているし、良い意味で混沌となっているみたいなんです。上海もそうですが、昔の日本バブル時代のような勢いがある。それって、モノを作る側の人間からしたら、すごく魅力的だし、今の日本にはない面白いモノや刺激的なコトが転がっているような気がするんですよ。

ーそういった環境変化が作品に影響与えると?

M :

与えると思いますね。デザインでも、アートでも、モノを作る時は特別なインスピレーションの元があるわけではなくて、日々生活する中でハッとする瞬間を見つけていくことなんです。それは本を読んでいる時に、ちょっとしたフレーズが気になったり、映画のワンシーンが頭に残ったり、結局そういうところに作品の糸口がある。だから、環境が変わることは今まで自分が見たことのない、触れたことのないモノやコトをいっぱい経験できるわけで。それは僕にとって絶対にプラスになるはずだと思っています。

ーそういった環境の中でどういったモノを作ってきたいですか?

M :

やっぱり、基本は見たこともなくて、作っていて興奮するモノ。僕も何だそれ?って 見た瞬間に思ってしまうモノは惹かれますし、そういうパっと見て、インパクトの強いモノを作っていきたいですね。それとルーツを感じるモノ、それは僕が作るその作品にも共通するテーマであって、それをもっと深化させていきたいですね。今やっている個展の作品は日本の伝統工芸がヒントになっています。大枠のコンセプトは変わらないですが、これまでの手法と少し違うことをやっているので、なんていうか不安だったり、これでいいのかなっていう気持ちはあるけれど、自分でも興奮していますね。

ーということは、三嶋さんの"今"が今回の個展に凝縮されているわけですね。

M :

そうですね。だから、個展期間中は「NANZUKA UNDERGROUND」まで足を運んでもらえるとすごく嬉しいです。

三嶋章義「HIERARCHY」
期間:7月2日〜7月30日
開催場所:NANZUKA UNDERGROUND
住所:東京都港区白金3-1-15-2F
TEL:03-6459-3130
営業時間:11:00〜19:00
休館日:月曜日、日曜日

http://nug.jp/exhi/2011/06/akiyoshi_mishima_hierarchy.html
三嶋 章義(クリエイター)
ヒロ杉山率いる、アーティスト集団エンライトメントでそのキャリアをスタート。
その後、独立し、現在はアーティスト、デザイナー、ファッションデザイナー、
映像ディレクターやVJなど多種多様なジャンルにおいて活躍中。
7月2日から渋谷のNANZUKA UNDERGROUNDにて個展が開催される。
渡辺 潤
本誌のアートディレクションを担当。
異業種のクリエイターが所属するkaleidosxope Inc.の代表。
ジャンル、業種を越えたクリエイションの実現を目指し、活動を展開。
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